枕草子

いつの間にか中断していた『枕草子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)』を久しぶりに再び読み始めた。

枕草子は、中学校の教科書に載っているせいか、登場人物の心は小中学生水準という印象があった。
しかし、実のところ、枕草子源氏物語の女たちは、現代のヤンキー少女たちよりも、内面では男女関係に激しいのであった。
そんなことを思うのは昨日から、木村朗子乳房はだれのものか―日本中世物語にみる性と権力』を(これも再び)読み始めたからで、それによると、枕草子源氏物語の登場人物の背景には、召人(めしうど)や乳母と呼ばれる身分の低い女性たちがおり、彼女たちは男性たちの性の対象でありながら、その産んだ子は相続の対象とならないという、男性にとって都合の良い存在だったのだという。

それはそうと、「枕草子」では次のような文章に心を動かされた(現代語訳)。

帝がお持ちの楽器には、琴にも笛にもみな珍しい名がついている。玄上・牧馬・井手・渭橋・無名など。また、和琴にも、朽目・塩釜・二貫など。水竜・小水竜・宇多の法師・釘打・葉二、その他たくさん聞いたが忘れてしまった。
「(楽器をほめて)それは宣陽殿の第一の棚に置くべき名器だ」というのは、頭の中将様(藤原斉信)の口癖だった。

どうしたこんな文章が、一千年の後にも残り、Kindleを通じてわたしの目に触れることになったのか、と思うと驚き、感激させられる。(といっても伝わらないと思うので、そのうち説明したい)